MacBook Air M2。今、買うべき?待つべき?
待ちに待った、MacBook AirのM2モデルが出ました。なんとも、喉から手が出るほど、魅力的なデバイスになりました。ガジェット系のブログの評判も上々です。
ただ、気になるのがお値段です。円安で、164,800円〜(投稿時の価格)と高くなってきました。
買うべきでしょうか。
結論から言えば、「今ではないが、いつかは買うべき」です。
価格面とデバイスそのものの良さについて検討してみます。
この価格で、今、買うべき?
164,800円という価格だけを考えると、今、買うべきではありません。
今が円高だ、ということと、Macbook Airという製品の位置付けに理由があります。
円安の今の値付けは、高すぎる
MacBook Air M1は、登場時、115,000円程度だったようです。
登場時の価格を単純に比較すると5万円も値上がっています。
もちろん性能は向上していますが、普通、後継機種だというだけで、こんなに値上がりすることはまずありません。円高の今のこの価格差は尋常ではありません。この価格差は後継機種というより上位機種との価格差です。また、MacBook Air M2モデルがM1モデルから相当進歩しているかと言えば、それも微妙です。
MacBook Airはあくまで最廉価モデル
MacBook Airは素晴らしいデバイスなので、忘れがちですが、あくまで、Appleの中で一番安いノートパソコンです。
各パソコンメーカーもいろいろなラインナップを揃えていますが、ノートパソコンの最廉価モデルは国内メーカーでも実売りで6-7万円程度です。反対に上位モデルでも13-14万円くらいで購入できます。
もちろん、Macbook Airは、他のメーカーの最廉価品とは違い、処理性能も液晶もキーボードも数ランク上のものなので、適正と言えば適正かもしれません。それでも、最廉価モデルで16万円というのが買いなのか、冷静に考えてみると、ちょっとびっくりするような価格ですね。
価格面では、「今買うべきではない」
現時点では、価格は少し加熱気味でしょう。
少し前は、Macbook Air M1であれば、新品同様の9万円台で再整備品が購入できたことを考えると、今買うべき、とは言えない状況だと思います。
実際にもっと安くなる時があるかはわかりませんが、今、Macbook Air M2を今買うべきか、と言われると、そうだとは言いいにくいところです。
いつかは購入すべき?
Macbook Air M2は、今じゃなくても、いつかは購入すべきデバイス、と言えるほど素晴らしいできです。
MacBook Air M2はM1モデルよりもずっと魅力的
前の機種、M1モデルと比較してみます。
M2モデル | M1モデル | ポイント | |
処理性能 | M2チップ | M1チップ | M2はM1より1.4倍高速 |
ディスプレイ | 13.6インチ | 13.3インチ | 輝度が100ニト向上している |
サイズ | 高さ:1.13cm | 高さ:1.61cm | 最大で0.5cm程度薄くなっている |
カメラ | 1080p | 720p | カメラがより鮮明になっている |
スピーカー | 4スピーカーサウンドシステム | ステレオスピーカー | 空間オーディのに対応するようになった |
バッテリー容量 | 52.6Wh | 49.9Wh | 性能は向上しているが、バッテリーの持続時間は変わっていない |
充電方法 | MagSafe電源コネクタ | USB-C | USBの数は変わらず、MagSafeポートが増えた |
処理性能
処理性能は順当に進歩した感じになっています。
ちなみに、M1とM2は何が違うのでしょう。
Appleの発表によるとCPU性能は18%高速に、GPU性能は40%高速になっているようです。また、同じ電力を使って場合のパフォーマンスはM2の方が上になっているようです。要は、高速に省電力になっています、ということでしょう。
もう少し詳しく見ていきましょう。
CPUは8コアCPU(高性能コア4つ・高効率コア4つ)と変わりありません。しかし、GPUコアがM1は7-8コアに対して、M2は8-10コアになっています。Neural Engineは16コアと変わりありませんが、こちらは40%高速になっているようです。トランジスタ数(チップを構成する構造)は25%増え、情報量を転送する帯域も50%アップしています。
各メディアが実際に測定してみても、想定通り、場合によっては想定以上に高速になっているようです。20%〜40%高速になっている、といってもピンとこないかもしれませんが、M1では重い処理だったものが、M2だとサックサクということがあり得るほどの変化です。
とは言っても、もともとM1の性能は素晴らしいものでした。あえてM2の処理能力を求める必要はほとんどの人にはないでしょう。M2の処理能力は、ほとんどの人にとって手に余るものになりそうです。
でも、長く使いたいなら、処理能力はケチってはいけないところです。処理能力の速いパソコンは、それなりに長く使えるものです。良いものを長く使いたい人はM2モデルで決まりです。
しかし、今回最も変化したのは外見でしょう。
ディスプレイ
少しだけ大きくなりました。
でも、ノートパソコンの画面の大きさは少し広いだけでも嬉しいものです。外出先で外部ディスプレイを接続することはできないので、ノートパソコンにとってディスプレイの大きさは重要な要素です。
また、画面枠ギリギリいっぱいに画面が広がっているデザインはとても美しいです。ただし、そのために、画面にノッチ(液晶ディスプレイ内にカメラが入り、一部欠けたようなデザインになる)が入りました。なんか、気になるという方もいらっしゃるかもしれませんね。ただし、マウスはすり抜けてくれるようですし、iPhoneなどのノッチもそんなに気にならないことを考えると、意外と大丈夫かもしれませんね。
輝度が100ニト明るくなったのも見落とせないポイントと思います。ちょっとした写真の現像ならMacbook Airで十分な画質になっていると言えます。
サイズとデザイン
ここが最も変化したところと言えるかもしれません。
Macbook Airが誕生してから、これまでずっと、わずかに曲面になった面で構成された本体でした。
しかし、今回からフラットを基調としたデザインになりました。iPhoneやiPadもそんな感じですね。今の流行りなのでしょうか。でも、Appleの他のデバイスとの調和も取れて、とても良いデザインになりました。
また、新色も追加されました。ミッドナイトは本当にかっこいいです。
充電方法
磁石で接続されるMagsafe充電ポートが搭載されるようになりました。
おかげで、充電用で塞がってしまっていたかもしれないUSB-Cが、2つともフルに使えるようになりました。
ただし、今まで、USB PD対応ハブなどを使っていた方にとっては変わりがないかもしれません。USB PD対応ハブを1本接続しておけば、その1本で充電・データ通信・外付けディスプレイも全部やってもらえます。それで、個人的にはあえてMagsafeで、接続ポートの数を増やす必要があるかな、と感じます。
ただ、MagSafeがお好きな方にはたまらないアイテムかもしれませんね。
M1ではなくアップデートされたM2モデルを買うべき
今からM1を購入するくらいなら、M2を購入した方が長持ちしますし、満足感も高いでしょう。
でも、Appleの後継機種というのは、ただ性能が向上するだけにとどまりません。大抵、ちょっとしたアップデートがあります。
今回で言うと、本体の奥行きがほんの数ミリ変わっただけで、キー配列が変化しています。そのおかげで、かなり統一感のあるデザインになっています。こんなふうに、ちょっとしたアップデートが、デザインや使いやすさに大きく影響してきます。
それで、Appleのデバイスに関して言えば、予算があるなら、最新モデルの方が良いでしょう。可能な限り、M2モデルの購入をしたいところです。
Macbook Airならではのメリット
仕上がりのバランス
これはApple製品全般に言えることですが、製品としての仕上がりのトータルバランスがとても良いものになっています。
パソコンは、基本的にメーカーがいろいろなパーツを買い集めて一つに組み立てて販売します。例えば、処理チップはIntelから、ストレージはサムスンから、液晶はまた別の会社から、といった具合です。
ところが、Appleの場合、自社で設計したパーツが多めになっています。
たとえば、一番重要な処理性能のチップでさえ自社設計です。これは他のどのパソコンメーカーも行っていません。Windowsのパソコン業界ではほとんどの場合Intelから提供してもらったCore iシリーズなどを組み込んでいますが、Macbook AirはApple独自設計のM2を組み込んでいます。
最近では、MicrosoftやGoogleなども自社設計のチップを組み込むことがありますが、Appleのチップはそれとは一線を画すほど長い時間をかけて作ってきたものです。
当然、自社で設計したチップをパソコンに組み込むなら、そのチップの性能を生かし切ることもできるわけです。
それで、結果的に、Macbook Airの製品としてのトータルバランスは高い次元で保たれています。
Macbook Airはファンレスで無音動作
普通パソコンには、ファンが内蔵されています。処理チップの発熱を逃すためのものです。
前述の通り、Macbook Airの処理性能はとても高いものですが、なんと、Macbook Airにはファンがありません。とっても静かに、というよりも無音で速く作業をしてくれます。パソコンで音楽を聞きたいと思っている方にとって、ファンレスは必須ですね。
このM1やM2という処理チップは、普通のパソコンのチップとは全く違うアプローチから作られています。あのiPhoneをスタートにいかに消費電力を小さくしたまま、処理を高速にできるか、という視点で10年以上磨かれてきたワットパフォーマンスのとても高いチップです。
色々考えてみると、MacBook Air M2に落ち着きます
こんなにサクッと静かに動くパソコンは、今のところありません。
Windowsデバイスと迷っていて、Windowsをどうしても使わなければいけないわけでないなら、一度Macbook Airを購入してみてもいいかもしれません。
MacBook Air M2。結局買うべきか?
価格面とデバイス面の両方で検討してみましたが、いかがだったでしょうか。悩ませるだけだったかもしれませんが、結論を出しておきます。
価格からすると、今ではないが、いつか買うべきもの
Macbook Airはあくまで最廉価モデル。そこに16万円以上出すのはちょっと考えものです。今後のことを考えるとメモリやSSDの容量を足しておきたい、という方も少なくないでしょう。しかし、メモリを16GBにするか、SSDの容量を倍にするだけで、20万円近くなります。
しかし、最廉価モデルといっても、ここまでトータルバランスの良いパソコンは少ないものです。ファンレスで、iPadのようにサクサク動きます。デザインと性能がここまで高次元で釣り合ったパソコンはなかなかないでしょう。
悩ましいですね。もう少し具体的にパターン別にまとめておきます。お役立ていただければ幸いです。
ノートパソコンを初めて購入する人
まだ持っていないのであれば、少し高くてもMacbook Air M2を買ってしまいましょう。ちょっと高いですが、間違いなく長く使えるデバイスでしょう。
すでにM1モデルを持っている人
あえて買い替える必要はないと思います。おそらくお気づきと思いますがM1モデルでも十分速いのです。反対に遅いと感じている方は、相当ハードな使い方をしておられる可能性があります。結局M2モデルを購入しても、劇的な変化は感じられないかもしれません。Macbook Proなどの購入を検討した方が良いでしょう。
WindowsやM1より前のモデルから乗り換えたい人
M2モデルをお勧めします。せっかくお金や勇気を出して乗り換えるなら、最新モデルから始めると長く使えますよ。
それでも悩む方のために、参考までに、他の選択肢についても触れておきます。
他の選択肢はあるか
MacBook Air M1
M1モデルなら3万円程度お得に買えます。処理性能は前世代のものですが、それでも、現在市販されているノートパソコンより静かで速いノートパソコンを手に入れることができます。
もちろんデザインも前世代のものですが、それでも、完成された美しいデザインです。悪くはない選択肢です。
ただし、この前世代のモデルに13万円というのはちょっとおすすめしにくい感じもします。購入するなら、再整備品として10万円台で購入しましょう。
Mac mini + iPad
これは全く違うアプローチですが、Mac mini M1なら10万円以下で購入できます。再整備品ならそれより安く購入できるでしょう。
iPadは5万円くらいから購入できます。ディスプレイやキーボード・マウスをすでに持っているなら、Mac miniと足して15万円くらいで揃えられます。
家ではMac miniを外ではiPadを、という感じで使うことができます。最近では、ユニバーサルコントロールが強化され、パソコンとiPadの垣根がなくなってきています。
ちなみに、MacBook Air M2は16万円台ですが、あの、新しいiMacは17万円台です。
予算内でいろんな構成を考えてみるのも楽しいですね。
せっかく、パソコンの新調を考えているなら、これと決めずに、いろんな方向からアプローチしてみましょう。